末席におります

アラフィフ研究者の日常を綴っています

最近読んでるもの(3)『日本に住んでる世界のひと』

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仕事柄、移民・難民・外国人・留学生関連の本は一般の人よりは読んでいると思う。書店へ行くと、真っ先にそういうコーナーに足が向いてしまう。この本もそんなうちの1冊なのだけれど、途中まで読んだまま、ずっと積読になっていた。特に理由はないのだけれど、そういう時ってあるでしょう、だれにでも。

しかし、本棚で目に付くたびに、ああ、読まなければと気にはなっていたので、今回、一気に読んでしまいました。

筆者の金井真紀さんは、「難民・移民フェス」の実行委員をされていらっしゃる方です。

www.nippon-foundation.or.jp

私の立場としては、入管法改正に関しても、難民受け入れに関しても、強く反対でもなく強く賛成でもない。入管法改正については、きちんと法律を守っている人に不公平にならないよう、本当に困っている人に手を差し伸べられるよう、そして、不良外国人に悪用されないようにしなければならないと思っている(いや、それが難しいんだよ)。私はこの最後の「不良外国人」を嫌というほど見てきているので、入管法改正に関しては実はどちらかという賛成なのだけれど、そうなると、この本に出てくるような、(恐らく)本当に困っている人たちにまでしわ寄せが行くことが非常に悩ましい。

 

しかし、みなさん、たくましい。ガッツがある。私なんぞ、自国でさえ、怖くて自分でビジネスなどしようと思ったこともないが、いや、思ったことはあるが、やる前から諦めてしまって、行動に移したことがない。しかし、ここに出てくる人たちの多くは、小さいながらも仕事がないなら自分で始めようと、ビジネスを立ち上げている。

しかも、日本という彼らにとっての外国で。登記とかどうやんの?相続の手続きひとつでヒーヒー言っているのに、登記なんぞできる気がしない。

「元気をもらう」という言葉が大嫌いな私だけれど、まさにこれを読んで、私も頑張らねばと喝を入れられた気分。明るく生きねばだよ、明るく。

 

そして、金井さんのイラストがとてもいい。この本にぴったりである。

私もこういう文章、学生に書いてもらいたい。自分の祖父母や両親について紹介するというような課題を出してもいいかもしれない。でも、書きたくない、祖父母や親も過去を知られたくないという人もいるだろうから、課題にするのはちょっと難しいかもしれないな。

今週のお題「最近読んでるもの」(2)

今週のお題「最近読んでるもの」

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前回の日記にも書いたが、昨晩までこちらを読んでいた。

www.chuko.co.jp

感想:

確かに面白かった。

しかし、である。

この作品に限ったことでなく、最近の作品に共通した特徴だと思うのだけれど、小説という体裁はとりつつも、それはまるでパズルのよう。所謂、伏線回収というやつ。やりすぎるとあざとさが鼻についてしまう。

それから、どれも映画化やドラマ化を意識したつくりになっていること。本が売れないと言われる昨今、そちらで利益を出そうとするのは仕方のないことなのかもしれない。

shuppankagaku.com

 

が、何と言うか、まるで映画のラノベを読んでいるような気になってくるのである。

これが本屋大賞か…。

 

そして、扱うテーマがこれまた例によって例のごとく、あれとあれ。ああ、またそれを使うのかと。わかるけれども、わかるけれども、である。

 

そして、当然のように映画化。

 

eiga.com

 

私が年をとったということなのか、やはり有吉佐和子松本清張を通った世代からすると、どうにもこうにも物足りない。まあ、彼らと比べないでくれよ、というところだろう。

誤解のないように言っておくが、この作品、十分に面白かった。若年層向けということで、私には合わなかった、それだけなのだろう。

アトリエうかいのクッキー

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あることで私が落ち込んでいたところ、

同僚が元気出してねとこれをくださった。

気を遣わせちゃって申し訳なかったな。

 

私は大丈夫です。

かなり立ち直れました。

まだ寂しいけどね。

 

あることというのは親の死です。

親の死というのは、なかなか受け入れ難いものです。

自分の年齢も親の年齢もまったく関係がありません。

とにかく受け入れられない。

しばらくはそれが続き、時間の経過とともに、徐々に諦めがついてきます。

私は最初の1週間は毎日号泣でした。

親を亡くした友人に話してみたら、それが普通のようです。

 

今週のお題「最近読んでるもの」

今週のお題「最近読んでるもの」

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普段読むものと言ったら、断然ノンフィクション系のものが多いのですが、

2週間前ぐらいから小説尽いております。

きっかけは、有吉佐和子の『青い壺』。

books.bunshun.jp

最近装丁を新しくして文春文庫から復刊したとのことで、

よく売れているようです。

Xのタイムラインに書店の「今売れているベスト10」のようなランキングが流れてきますが、複数の書店でランクインしているのを見かけました。

 

初版は昭和55年なので、女性の描かれ方などに関しては「今、これは絶対にありえない」というような部分もありますが、その辺は仕方がないと目を瞑ってください。

それを除けば、page turnerで、本当に面白い。

歩きスマホならぬ、歩き文庫をしたくなるほど。

 

この面白さに刺激を受けた私が次に選んだのは、『デフ・ヴォイス』。

books.bunshun.jp

語学の教員なのに、手話についてこれっぽっちも知らなかった自分を恥じました。

アカデミー作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』は見ていたのですが、

日本におけるろう者のコミュニティーや手話の状況は、アメリカのそれとはまったく異なり、初めて知ることばかり。

社会派ミステリーなので、これまたpage turnerで、1日で読みきってしまいました。

今度、草彅君でドラマ化されるんですね。

主役の荒井のイメージにぴったり。

www.nhk.jp

 

そして、今読んでいるのが、ずっと積読になっていた『52ヘルツのくじらたち』。

www.chuko.co.jp

 

こちらもあっという間に半分まで読んでしまいました。

 

次は、何を読もうか考えておかないと。

 

では、おやすみなさい。

 

 

『すずめの戸締まり』が素晴らしかった話

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今日はティーンエイジャーの家族とこちらを鑑賞。

suzume-tojimari-movie.jp

 

実は数年前に見た新海監督の『言の葉の庭』が大嫌いで(職業柄)、大ヒットした『君の名は』も『天気の子』も、「あの『言の葉の庭』の人でしょ」とまったく食指が動かなかったのですが、今回震災をテーマにしているということを聞きおよび、えいやっと見に行ってきました。

まず、作画が素晴らしい。東京の風景も、田舎の風景も、坂道も、青空も、人物も何もかも。IMAXレーザーで鑑賞したので、よりその素晴らしさが堪能できました。細かいところまで実によく見えるんですよ、IMAXレーザー。

そして、ロードムービー形式で描くことによって、主人公の鈴芽がいろいろな境遇の人たちに巡り合う中で成長していく様を、非常にわかりやすく提示してくれているのです。これ、うまくやらないとダラダラと中だるみしてしまうと思うのですが、この作品はそれがない。

そして、やはりテーマ設定。震災って、避けられたら避けたいテーマですよ。取り上げたら、絶対に批判が来るし。でも、それも全部引き受けてくれた監督の勇気に、100点。そして、それをクソ真面目にドキュメンタリータッチに描かずに、ちゃんとエンターテインメントに仕上げた勇気、風化しないように、忘れないように、老若男女が見て楽しめる形にした決断にプラス100点。

批評家のように、欠点を論うこともできますが、それは横に置いておいて、とても共感できたし、何よりもティーンエイジャーの「あー、面白かった。なんかあの日のこと、少し思い出した」の言葉が出たことで、プラス1億点です。

 

失われた"雑談"を求めて

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最後の投稿は9月25日って!

この間、書きたいことは山ほどありましたが、投稿する時間ゼロ。

他の方のページを読みに行く時間も体力も精神的な余裕もなく、時間が空いたら体力回復のためにできる限り休息をとっていました。

授業準備→採点→家事→睡眠→通勤の無限ループであっという間に12月。

映画も見てない。とにかくまとまった時間が取れない。

その代わり、短時間で見られる朝ドラと大河と夜ドラ(つくたべ)だけは見ていました。

www.nhk.jp

↑この対談、とても興味深いです。色々書きたいこともある。でも時間無し。

 

通勤時間も授業関連の作業をしているので、読書もなかなか進まずの状態なのですが、本の購買欲だけはあるので、積読がまたまた増殖中。コロナで随分と少なくなったんですが、元の木阿弥です。

上の写真はその中で一番最近買ったもの。

tababooks.com

食事中、寝る前などに少しずつ読み進めたら、最後までたどり着いてしまいました。

そうなんですよね。私はコロナであまりネガティブな影響を受けなかった派なのですが、今になってちょっときているのがこの「雑談」不足。

職場では同僚の先生方と話す時間はあるものの、雑談というよりは、仕事の話が中心。2020年3月以降、友人との会食がほぼゼロになってしまったので、雑談はほぼゼロ。

家族はそれぞれに忙しく、学生時代の友だちと話すのとは明らかに違うし、家族の中における私の役割というのもあるし、ジェネレーションギャップもあるので話題も限られる。

この本は、人の雑談を隣で聞いているような感覚。でも、聞くだけでは収まらず、「それで、私はね…」と話したくなったりして、ますます雑談欲が高まってしまいました。

どうしてくれるんだ!笑

 

 

 

足を引っ張るのはやめてくれ

先日、年に一度の健康診断に行ってきたのだが、その結果を聞きに行くのに、わざわざまた予約を取らなければならない。なんだかんだ前後1時間プラスで全部で3時間は取られる。現役世代には、この3時間がもったいない。何か問題があるなら、もちろんコンサルテーションは必要だと思うけれど、「はい、何も問題ありませんでした。ご苦労様」という言葉を聞くためだけに3時間。無駄でしょ。Zoomでいいじゃん。なぜZoom診療を早く許可しないんだろう。または結果をパソコンで見られるようにする。

健康診断の予約も同様。電話受付のみの病院がほとんどで、平日に何度も電話をしなければならなくなる。これがまたストレスなんだよなー。

 

そして、先日の台風。結局、私の住む地域にはほとんど影響がなかったのだけれど、荒天の場合、もうオンライン同時双方向に切り替えてしまえばいいじゃないか。わかるんですよ。確かにそのオンライン授業の制度を悪用するバカ教員がいるのは事実。オンデマンドにして、課題だけ出してほったらかし。そういう腐ったミカンのために、他の9割の真面目な教員が割を食うわけです。もうこの「サボるやつがいるから制度を厳しくする」というマインドセット、やめてほしい。

 

そして、急にオンライン双方向に変更するのを大学が禁止するのは、まず大学によってはWi-Fiが微弱だというのがある。そして、日本の大学生がノートパソコンを持参しない、そもそも持っていないというのもある。大学生なのに持ってないの。勉強する気あるとは思えない。レポート、スマホで書いていいですかって聞いてくる時点で、単位落としたくなるのは私だけ?大学側も学生の親の経済状況を慮って、購入しなさいとは強く言えない。学生の中には、家にパソコンがあるけど、Windows95ですとか言ってくるのがたまにいる。一人じゃないよ。複数いる。どんだけー。

 

もうねえ、呆れますよ。コロナの2年があっても、まだこの体たらく。IT格差が広がらないように、わざとIT化を進めないのか?

 

別にスマホやPCを使って何か特別なことができるように、自分のウェブページを作れるように、プログラミングをなんてことを言っているんじゃないの。ただ単純に、何かの予約をしたり、Zoomで会話をしたりできるだけでいいんですよ。Zoomでミーティングを主催する必要はない。受けるだけ、見るだけ、話すだけ。日常のちょっとしたことをITを使って効率化するだけ。それだけ。だめですか?できない人ができる人の足をひっぱる社会やめてくれ。できない人には相応の補助をする方向の方が良くない?