末席におります

アラフィフ研究者の日常を綴っています

最近読んでるもの(3)『日本に住んでる世界のひと』

f:id:tablarasa:20231111213845j:image

仕事柄、移民・難民・外国人・留学生関連の本は一般の人よりは読んでいると思う。書店へ行くと、真っ先にそういうコーナーに足が向いてしまう。この本もそんなうちの1冊なのだけれど、途中まで読んだまま、ずっと積読になっていた。特に理由はないのだけれど、そういう時ってあるでしょう、だれにでも。

しかし、本棚で目に付くたびに、ああ、読まなければと気にはなっていたので、今回、一気に読んでしまいました。

筆者の金井真紀さんは、「難民・移民フェス」の実行委員をされていらっしゃる方です。

www.nippon-foundation.or.jp

私の立場としては、入管法改正に関しても、難民受け入れに関しても、強く反対でもなく強く賛成でもない。入管法改正については、きちんと法律を守っている人に不公平にならないよう、本当に困っている人に手を差し伸べられるよう、そして、不良外国人に悪用されないようにしなければならないと思っている(いや、それが難しいんだよ)。私はこの最後の「不良外国人」を嫌というほど見てきているので、入管法改正に関しては実はどちらかという賛成なのだけれど、そうなると、この本に出てくるような、(恐らく)本当に困っている人たちにまでしわ寄せが行くことが非常に悩ましい。

 

しかし、みなさん、たくましい。ガッツがある。私なんぞ、自国でさえ、怖くて自分でビジネスなどしようと思ったこともないが、いや、思ったことはあるが、やる前から諦めてしまって、行動に移したことがない。しかし、ここに出てくる人たちの多くは、小さいながらも仕事がないなら自分で始めようと、ビジネスを立ち上げている。

しかも、日本という彼らにとっての外国で。登記とかどうやんの?相続の手続きひとつでヒーヒー言っているのに、登記なんぞできる気がしない。

「元気をもらう」という言葉が大嫌いな私だけれど、まさにこれを読んで、私も頑張らねばと喝を入れられた気分。明るく生きねばだよ、明るく。

 

そして、金井さんのイラストがとてもいい。この本にぴったりである。

私もこういう文章、学生に書いてもらいたい。自分の祖父母や両親について紹介するというような課題を出してもいいかもしれない。でも、書きたくない、祖父母や親も過去を知られたくないという人もいるだろうから、課題にするのはちょっと難しいかもしれないな。