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アラフィフ研究者の日常を綴っています

『すずめの戸締まり』が素晴らしかった話

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今日はティーンエイジャーの家族とこちらを鑑賞。

suzume-tojimari-movie.jp

 

実は数年前に見た新海監督の『言の葉の庭』が大嫌いで(職業柄)、大ヒットした『君の名は』も『天気の子』も、「あの『言の葉の庭』の人でしょ」とまったく食指が動かなかったのですが、今回震災をテーマにしているということを聞きおよび、えいやっと見に行ってきました。

まず、作画が素晴らしい。東京の風景も、田舎の風景も、坂道も、青空も、人物も何もかも。IMAXレーザーで鑑賞したので、よりその素晴らしさが堪能できました。細かいところまで実によく見えるんですよ、IMAXレーザー。

そして、ロードムービー形式で描くことによって、主人公の鈴芽がいろいろな境遇の人たちに巡り合う中で成長していく様を、非常にわかりやすく提示してくれているのです。これ、うまくやらないとダラダラと中だるみしてしまうと思うのですが、この作品はそれがない。

そして、やはりテーマ設定。震災って、避けられたら避けたいテーマですよ。取り上げたら、絶対に批判が来るし。でも、それも全部引き受けてくれた監督の勇気に、100点。そして、それをクソ真面目にドキュメンタリータッチに描かずに、ちゃんとエンターテインメントに仕上げた勇気、風化しないように、忘れないように、老若男女が見て楽しめる形にした決断にプラス100点。

批評家のように、欠点を論うこともできますが、それは横に置いておいて、とても共感できたし、何よりもティーンエイジャーの「あー、面白かった。なんかあの日のこと、少し思い出した」の言葉が出たことで、プラス1億点です。